41年前に北高歴史部が長浜市からの委託を受けて編纂した『ふるさと長浜』より
長浜市教育委員会の野一色教育長の『発刊のことば』です。
なかなか味わい深い文章だと思います。
ここに転載いたします。
『 ふるさと長浜 』
長浜市教育委員会・滋賀県立長浜北高等学校歴史部 編集 1973年
発刊のことば
「知ること深ければ、愛することもまた深い」といわれます。私たちのふるさと長浜を愛し、長浜の発展を願う者は、まず長浜をよく知ることであると言えましょう。
現在の長浜は、過去からの連続であり、また将来への出発点でもあるわけです。現在の長浜をほんとうに知るためには、現在までの長浜をつぶさに訪ねてみることからはじめなければならないと思います。そしてそのことは、やがて長浜を愛し、長浜の発展に寄与することに、つながるものだと思います。
本年は市制施行三十年の、記念すべき年であります。ここで、今一度改めて長浜を知り、長浜を愛する心のよりどころにもなればと念じて、このたび長浜市では、市制施行三十年の記念出版が企画されました。教育委員会はこの企画の委託を受けたので、県立長浜北高等学校の格別のご協力を得て、ここにささやかではありますが、本書を出版する運びとなりました。ねがわくば本書が、長浜を知り、長浜を愛し、長浜の発展のための、何等かのご参考になれば幸です。「水と緑と太陽のまち長浜」「風格のあるふるさとのまち長浜」のますますの発展を祈念いたします。
最後になりましたが、本書の出版にあたり、県立長浜北高等学校の格別のご協力に対し深甚な謝意を表します。
昭和四十八年十月
長浜市教育委員会
教育長 野一色 佐八
同じく北高歴史部編集の『ふるさと長浜』より
当時の歴史部顧問、江竜喜之先生のあとがきです。
これを読んでいると昭和27年の創設以来、北高歴史部が郷土の歴史や地誌について地道な調査活動をつづけ、毎年機関誌『歴史』を発刊していたことがわかります。
素晴らしい実績だと思います。
北高歴史部を復活させたい、切にそう願います。
あとがき
本書の内容の大部分は、長浜北高等学校の歴史部が過去十年間にわたって、毎年テーマをきめて、郷土長浜の歴史について、調査・研究をしてきた結果をまとめたものです。このように、私どものこれまでの活動成果を市制三十周年を機会にまとまった一冊の本にする機会を与えてくださった長浜市・長浜市教育委員会に対し、部員ともども深く感謝の意を表するものです。
長浜北高等学校の歴史部は、前顧問の井上孝士先生のご尽力により、昭和二十七年の頃、それまでにあった社会科研究部などをもとにして、創設され、翌年には機関紙「歴史」第一号が発刊されました。以後、歴代の部員や顧問の努力により、毎年一冊ずつ規則正しく刊行が続けられてきました。この間、昭和三十七年の十周年記念号に「秀吉と長浜」という記事が掲載されたのを契機に、翌年より、郷土長浜の歴史に関するテーマを設定して活動をすすめ、その結果をその年々の「歴史」に特集記事として掲載してきました。この特集記事を集め、加筆、訂正を加え、前後脈絡をとって、一冊の本にまとめ上げたのが本書です。
以上のように本書は長浜市の歴史を系統的、網羅的に著述したものではなく、断片的ないくつかのテーマを設け、それぞれの方面から長浜の歴史を少々追求してみた程度のものです。このため、きわめて資料性の強いものがあるかと思えば、単なる読み物風なものまでまじっており、各章ごとに少しずつその性格がちがいます。文体も一応、「である」調で統一されていますが、第九章だけは、その内容にあわせて「です」「ます」調にしてあります。
なにしろ過去十年間にわたって少しずつ調べ上げてきたもので、今回相当に手直しをしてみましたが、まだまだ内容的に古くなった面もあるかと思います。また編集者の不注意、不行届きのために多くの過誤を犯しているかと思います。この点、強くその責任を感じている状況です。このように、本書は長浜の歴史としてはきわめて、不完全なものですが、少しでもご参考になるものがあればと願っています。
いま、振り返ってみますと、歴史部の毎年の調査研究活動、ならびに本書の編集にあたって、お世話になった方はきわめて多数にのぼります。内容が地域の歴史だけに、資料の収集はすべて地元の方々のご厚意によっているといっても過言ではありません。とくに中村林一氏にはテーマの設定や資料の取り扱いに至るまで多くのご指導をいただいてきました。このように本書はまさに地元の方々のご協力のたまものです。また資料の提供や全体の企画、それに編集の一部をご担当いただいた長浜市教育委員会の方々のご尽力ご協力は申すまでもありません。ここに心より厚くお礼申し上げる次第です。
このほか、企画・編集・校正の面でお力添えをいただいた方々そして、小野吟左衛門校長をはじめとする長浜北高等学校の職員の方々、第七章の碑文の点検にご協力いただいた小林清八郎氏、それに西川丈夫君をはじめとする歴史部の先輩の方々等々、いずれもお忙しい中、貴重な時間をさいてご助力、ご支援いただきました。ここに部員ともども深く感謝をいたす次第です。
最後に印刷にあたって、私どものたび重なるめんどうなお願いを心よくお聞き届けいただいた明文舎印刷商事株式会社の中村尚専務をはじめ、関係者の方々に厚くお礼の言葉を申し述べたいと存じます。
長浜北高等学校歴史部顧問
江竜 喜之