『 Heros 英雄たちの凱旋 』
小走りに駆ける若人たちの一団を見る
炎熱に焼かれ、汗と泥にまみれた彼ら
腕で顔を覆う者、帽子を目深にかぶりなおす者...
勝負は時の運だ
勝利の女神は気まぐれで
わざと力のある者をおとしめることもある
だが、グラウンドの彼らの姿は、試合の後も、脳裏に残る
ある者は、いやと言うほど素振りを重ねたフォームで敵に挑み
またある者は、死に物狂いで白球を追い、身を挺してチームを守った
意地と気迫をみなぎらせ、ひとりマウンドで孤独な勝負を続けた者
ベンチで、応援席で声を嗄らして声援をおくった者もいる
その日、炎天の下、だれもが懸命に戦った
今日の試合が最後になる者も、次のゲームを待つ者も
だれもが等しく、始まったばかりの人生を進みゆく
今日の敗北を糧として
明日の勝利を目指しつつ
ただひたすらにまっすぐに進む彼ら
走り続ける者はいずれゴールに達する
唇を固く結び、悔しさをかみしめる彼ら
強い思いを持つ者はいつか事を成し遂げる
泥まみれで黙々と行く彼らに
今こそ、心からの声援を贈る
そして、一人でも多くの人に告げ知らせよう
見よ、彼らを!
今まさに、我らの英雄が凱旋したのだ。
※2014年7月12日 夏の高校野球滋賀大会開幕試合
長浜北高ナインは敗れるも、どの高校にも負けない礼節と健闘を見せてくれた。
彼らを讃え、ここに一篇の散文を捧ぐ